クラウドは、ここで触れられているように、国境を越えているがゆえに良きにつけ悪しきにつけ、法的に従来の考え方ではすまない状況を発生させるだろう。その意味で、国境を越えた法整備や司法運用のノウハウの蓄積が必要なのだろう。
日本のクラウドビジネスは、国境を越えさせないようなビジネスを展開しているようで、全くお寒い未来ではある。日本のクラウドビジネスは、データセンタービジネスといってもよいのではないかと思われるが、物理的にも(耐震設計などで)情報セキュリティの面でも堅牢につくられる。そのことをおそらくセールスポイントにし、ユーザもそれをよしとしている可能性が高いと思われる。
しかし、そうした、いわば、第二次産業的な情報産業の発想は、根本的な間違いだろう。グーグルが世界で展開するデータセンターは、コンテナに設置され、壊れること、あるいは、障害が起きることが前提で設置されていて、トラブルが起こるとさっさと他の代替施設に自動的に移行するようなシステムが組み込まれているらしい。また、グーグルのサーバも一般家庭のPCに毛が生えたぐらいのスペックであるものの並列的に設置され、常に情報をスワップしながら機能しているという。
つまりは、施設の問題ではなく、情報サービスそのものが重要だということだろう。こうした、サービスとしてのクラウドビジネスを日本企業が展開できないとしたら、まさに、日本経済の未来は暗いということだ。
「クラウド」時代のビジネス、国家権力、犯罪を想像してみた - 磯崎哲也 : アゴラ:http://agora-web.jp/archives/991064.html
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